老人ホームを選択するときには、やはり、入居を希望する本人、または家族、あるいはその両方が、ホームに自ら足を運び、しっかり目で見て確かめることが、大変重要です。
入所してしまってから、「こんなはずじゃなかったのに・・・」、「思っていたのと違っていた」ということにならないためにも、条件に見合う老人ホームをいくつか絞り込んだ後は、実際に見学に訪れてみることが必要です。
また、見学は、一箇所だけではなく、少なくとも、2~3箇所は見学し、比較することが大切です。さらに、体験入居をしてみると、開示されている情報や、見学だけでは分からなかった、思いもかけない発見が、あるかもしれません。
では、見学、体験入居の際に、見落としのないよう、いくつかのチェックポイントをあげてみたいと思います。見学の際には、複数人で訪れ、多角的な目でとらえるとさらに良いです。一人では気づかなかった点に、あとで意見交換しながら、気づくことができます。
1.スタッフの対応
スタッフは気持ちよく挨拶をしてくれたでしょうか。また、話しかけた際に、快く対応してくれましたでしょうか。年齢層、男女比、またスタッフの資格の有無も確認してください。
2.他の入居者の方々
これからいっしょに生活をしていく方々です。表情、挨拶、話しかけた際の対応はどうでしょうか。仲良くやっていくことができると感じられたでしょうか。
3.食事
メニュー、質、量、また、健康や病状に配慮した食事サービスが受けられるようになっているでしょうか。他の入居者の方々に、「味」の感想を聞いてみるのもいいかもしれません。
4.周囲の環境
ちょっとしたお散歩を楽しめる公園、お店、病院が近くにあるでしょうか。交通の便はいいでしょうか。
5.相談、苦情の窓口
何かあったときに、快く相談にのってくれる、専門の窓口が設置されているでしょうか。問題にすばやく対応してくれる制度が整っているかどうかを、確認しておいてください。
体験入居した場合、夜間の体制や周囲の状況など、昼間にはよくわからなかった点を、確認することができます。その点をチェックすることが大切です。
1.食事、トイレ、入浴などの基本的な介護を見学、体験してみると良いでしょう。
2.サークル活動、イベントなどを見学・体験し、実際に入所したときに、楽しい生活が送ることができるかどうか、イメージしてみましょう。
3.夜間の看護体制について確認します。
4.周辺の治安、騒音を確認してみてください。
ただし、一般的に、体験入居には、1泊2日で15000円前後費用がかかるところが多いようです。
今はとても健康でも、将来、身体に不自由が出てくる可能性は、大いにあります。最近、ことに問題になっている痴呆の問題も、決して他人事ではありません。また、これまでは自宅で、自分のスタイルで生活されてきた方の場合は、いきなり集団生活を送らなければならなくなると、いろいろ戸惑うことも多いと思います。
精神的にも、肉体的にも、適応力があるうちに、余裕をもって、老後の人生設計をしておきたいものです。
老人ホーム選びでは、特に、有料の老人ホームを選択するときには、契約、引越し、そして、入居までの、大きな流れを把握し、納得のいくまで準備をした上で選択し、後悔のないように、新しい生活をスタートさせましょう。
1.選択
有料老人ホームの選択は、自分自身の生活スタイルや健康状態、そして将来をも視野に入れて、再検討することから始まります。そして、無理のない資金計画を立て、情報収集をします。
そして、様々な希望条件の中で、優先順位をつけて、徐々にいくつかの有料老人ホームに、絞り込んでいきます。
2.見学・体験入居
実際に契約する前に、必ず自分自身の目で確認することが大切です。体験入居をしてみると、感覚的に合うか合わないかを実感することができます。
その際、一人で行くのではなく、何人かで行くことにより、様々な視点からとらえることがでるという利点もあります。また、比較のためにも、必ずいくつかの施設を訪れましょう。さらに、複数回訪問すると、その施設のことがよくわかるでしょう。
3.契約
希望のホームが決まったら、具体的な契約条件の最終確認をし、必要な書類を整えます。一般的に、必要な書類は以下のものです。
(参考):
●契約書(2通)
●契約者の戸籍抄本
●契約者の住民票
●契約者の印鑑証明と実印
●身元引受人の印鑑証明と実印
●契約金振り込み証明書
●その他(経歴、趣味、健康状態などを記した身上書)
4.引越し・入居
新しい環境で、楽しい生活をスタートさせましょう。
老人ホームへの入居は、人生における「大きな買い物」です。
身体の自由や、思考がはっきりしているうちに、将来を見据えた目で、計画的な資金計画を立てましょう。その際、さまざまな時点、入居時、入居後の生活費、介護が必要になった場合の費用なども考慮に入れて、検討する必要があります。
必要となる基本的費用について、確認しておきます。
1.入居一時金
入居する最初の時点に必要な費用です。
入居一時金は、それを支払うことによって、入居者が専用の居室や共同の施設、サービスを利用する権利を得るためのものです。
2.介護費用
介護のために必要な費用です。
介護保険制度によって、都道府県の指定を受けたホームでは、提供される介護サービスの一部が保険対象になります。介護保険以外の費用の負担については、入居時に、一時金とは別に一時金で払う場合と、月々の介護費用として支払う場合があります。
あるいは、介護が必要な状態になってから請求されるケースもあります。金額も、300~800万と多様です。おむつなどの消耗品は、実費で支払う場合が多いです。
3.月々に必要な生活費
●管理費
ホームのサービスや施設の管理のために、毎月必要な費用です。その施設により、最も幅がある費用です。
●食費
ホーム内での食事サービスに対して支払う費用です。たいてい、実際の利用回数に応じて支払うホームがほとんどです。4~6万円が目安です。
●水道光熱費
施設によっては、管理費に含まれていることもあります。2~3万円程度です。
●個人的な生活費
電話代や交際費、交通費、趣味の費用です。その他、追加の個人的な有料サービスを受けた場合、ホーム以外のサービスを個人的に契約した場合に、別途費用が必要になります。
毎月の費用は、入居している限り、終身払い続ける費用です。無理なく支払える施設を選択することが、後々のためにも重要です。
4.万一の費用
病気や怪我、お葬式費用など。
かつては、高額のため、とても敷居が高かった有料老人ホームですが、最近では、比較的安い費用で、個人の趣向の多様化に対応した施設が、多く登場しているといわれています。では、実際、そういった施設に入居するには、どれほどの資金が必要なのでしょうか。
実態を把握した上で、無理のない資金計画を、早めに立てておきたいものです。
ある一般的な有料老人ホームを例に、具体的な入居費用をシミュレーションしてみます。一般に、費用は、入居一時金方式と入居保証方式の2種類があります。どちらを選ぶかで、月々の月額利用料が変わってきます。
【ある有料老人ホームの例】
●入居一時金方式の場合
契約時に、25万円~26万円の、入居一時金を支払います。この入居一時金は、入居後、40ヶ月(3年6ヶ月)以内に退居する場合は、月額(6000円ほど)で計算して、未償却分が返還されます。償却後の追加金は不要です。
この方式の場合は、月額利用料は、家賃が60000円~65000円、食費が35000~40000円、管理費が25000~30000円です。
月額利用料は、13万円前後になりますが、この他に、実際には、介護給付金の一割負担(この金額は、介護度によって異なります)、各部屋の電気代、医療費、オムツ代などが、別途必要になります。
●入居保証方式の場合
入居保証金として100,000円を、まずは支払います。この保証金は、退去時に全額返金されます。ただし、退去時の居室の状況に応じて、原状回復費を徴収される場合があります。
月額利用料は、家賃は70000~75000円、食費は35000~40000円、管理費は25000~30000円です。月額利用料は、14万円前後です。
この場合も、この他に、実際には、介護度によって異なる介護給付金の一割負担、各部屋の電気代、医療費、オムツ代などが別途必要になってきます。
つまり、入居一時金方式の場合は、入居一時金を多く支払うことによって、月々の家賃を抑えるというわけです。一方、入居保証方式の場合は、入居保証金を低く抑え、しかも、退去時に全額返還される代わりに、月々の家賃が高くなるというものです。
長く住む予定なら、入居一時金方式の方が、良いのかもしれません。しかし、こればかりは、将来的に、どうなるか予想がつかないものです。
また、これはあくまで一例です。入居金が0円というところもあります。それは、個々のホームで、実際にシミュレーションをしてもらうということが重要です。
老人ホームの中でも、各個人が、自ら選択して入居を決定することができるのが、有料老人ホームです。
第二の人生を、田舎でのんびりと暮らしたい、あるいは、交通の便が良く、大きな病院や美術館などがあって、便利な都会で暮らしたいなど、その人の生活スタイルによって、好みは様々です。有料老人ホームは、個人の意向に沿って、選ぶことが可能です。
最低限必要な介護、サービス、もしくは、できればあったほうがいいなと希望するサービスなど、譲れる条件と譲れない条件を、各自の経済的な能力と、相談しながら決めていくことになります。しかし、有料老人ホームであっても、必ずしも、全ての人が入居可能であるとは限りません。ホーム側の条件も、よく調べておくことが重要です。
例えば、ある介護付き有料老人ホームの場合は、入居対象者を、「介護保険需給対象者」に限っています。つまり、要支援、または、要支援1、要支援2、要介護1~5の認定を受けている方です。申請中の方も対象となることがあります。
かつ、「連帯保証人を定められる方」を入居の対象として定めているところも多いようです。そのため、入居の際に、健康診断書・介護保険証・健康保険証・老人医療需給証・身体障害者手帳などを用意する必要があるというケースがあります。
また、たとえこれらの条件を満たしていたとしても、あくまで集団生活となるわけですから、感染症・伝染病を持っていて、他の入居者に感染・伝染させる恐れのある人は、対象外となります。
他の入居者に、迷惑や危害を与える恐れがある人も、入居を拒否されてしまう場合もあります。また、老人ホームは病院ではないので、入院治療が必要な人、常時医療的な処置を必要とされる人も、対象から外れてしまうケースがほとんどです。
このように、たとえ「自らの選択」で選べるとはいえ、一定の条件があり、制限を受けることも忘れてはいけません。ただし、あくまで制限は、個々のホームによって異なります。事前にしっかり調べておくことが重要です。
年齢的にも、介在的にも、老人ホームの入居条件をクリアしており、さらに、介護認定も受けているという場合であれば、老人ホームへの入居が可能なのでしょうか。
老人ホームでの生活は、病院とは違います。たとえ、これらの条件をクリアしていたとしても、本人が様々な病気を持つ場合、またその症状によっては、入所を拒否されてしまう場合も、ないとは言えません。たとえば、入居に際して、どのような病名、症状が、入所拒否の対象となるのでしょうか。
一般的な、介護付き有料老人ホームにおいて、病名・症状によって受け入れ拒否となる可能性があるような条件を、見てみることにしましょう。
ただし、あくまでこれは一例です。これらの条件が、受け入れられるかどうか、またその他に、問題となる条件があるかどうかを、必ず、ご自分で、希望するホームの個々の規定を確認するようにしてください。
●医療面の受け入れ
・胃ろう
・インシュリン
・在宅酸素
・褥瘡(じゅくそう)
・ストマ(人工肛門)
・糖尿病
・透析
・認知症
・バルン
・ペースメーカー
※「胃ろう」とは、何らかの事情で、口からの食物摂取が困難な場合に、胃や腸などの消化管にチューブを通して、直接栄養を摂る方法です。消化管に栄養を送るルートして、鼻からの場合と、胃ろうといって、おなかに小さな穴を開けて、そこから栄養を送り込む方法があります。鼻からの場合と比べ、胃ろうは、管理が容易なため、自宅などでの介護の負担が軽いといわれています。
以上の病気の人については、比較的、受け入れられるケースが多いようです。
・気管切開
・筋萎縮性硬化症
・人工呼吸器
これらは、問題となるケースがほとんどです。また、IVHは不可となるそうです。
●感染症の受け入れ
・肝炎
・梅毒
・MRSA
これらについては、比較的受け入れられるケースが多いようです。
・疥癬
・HIV
これらは問題となるでしょう。また、結核は不可となります。
あくまで、一般的な例です。必ず、その施設ごとに確認するようにしてください。